スマーフォンを用いた野外調査
以下では、Android用のスマートフォンアプリであるGeopaparazziを野外調査に活用する手法を解説しています。この教材は、Koichi Kita氏が公開しているGeopaparazziの説明資料(Geopaparazziハンズオン)とGeopaparazziの使い方解説(Ver4)を参考に作成しました。各機能の詳しい説明は、上記の資料やGeopaparazzi wikiを参照ください。また、以下ではオフライン環境での調査を想定しています。オンライン環境で調査を行う場合は、デフォルトのmapurlファイルを利用するため、前半部分は読み飛ばしてください。
※iPhone向けの野外調査アプリとして、iGISなどがあります。iGISによる野外調査法については、農研機構が発行している「モバイルGISアプリ「iGIS」とGoogle Earthを用いた荒廃農地の踏査手法マニュアル」http://www.naro.affrc.go.jp/publicity_report/pub2016_or_later/pamphlet/tech-pamph/077715.html
で詳しく解説されています。
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調査用地図の作成
QGISビギナーズマニュアルと既存データの地図データと属性データの教材を参考に、以下のような地図を作成する。※ ここでは、シェープファイルの座標系は、空間データの教材を参考にEPSG:3857へ変換したものを使用した。
地図タイルとMapurlの作成
ラスタタイルの教材を参考に、ラスタタイルを作成する。このときのラスタタイルを出力するファイルの名称は、任意の名称で良い(以下では、kashiwanoha.zipとした)。
次に、テキストエディタを開き、以下のような.mapurlを作成しkashiwanoha.mapurlとして保存する。url,center,zoomlevelは、利用する地図の状況に応じて変更する。
url=kashiwannoha/ZZZ/XXX/YYY.png
minzoom=14
maxzoom=18
center=139.940 35.903
type=google
format=png
defaultzoom=14
mbtiles=defaulttiles/kashiwannoha.mbtiles
description=地理院地図とe-stat(柏市境界)を利用し作成
上記は、Geopaparazziの使い方解説(Ver4), QGISからタイル地図を作成するを参考に作成した。
Geopaparazziを起動し、調査用地図を読み込む
ラスタタイル(.zip)と.mapurlを作成後、スマートフォンをPCに接続し、スマートフォン内のmapsフォルダに解凍したkashiwanohaのフォルダと.mapurlファイルを移動する。
Geopaparazziを起動し、背景地図を選択するボタンから以下のように、作成したkashiwanoha.mapurlを選択する。
背景地図として、kashiwanoha.mapurlを一度タップし、起動画面の地図表示ボタンをクリックする。上記の操作で地図が表示できる。表示できない場合は、タイルの作成が失敗しているか、.mapurlの記載方法が間違っている。
フィールドワークでデータを記録
データは、中央の十字の地点に以下のようなデータをnoteとして記録できる。一度作成したnoteを消すには、初期画面から新しいプロジェクトを開始をタップする。
追加できる項目 | 詳細 |
---|---|
image note | 写真を追加できる |
sketch note | スケッチを追加できる |
map note | 地図画像を追加できる |
text note | テキストを追加できる |
自作の調査項目 | 調査項目をまとめたノートが作成できる |
調査項目の自作
Geopaparazziでは、Geopaparazzi>tags.json
に自作の調査項目リストを作成することができる。例えば、文化財の調査をすると仮定した場合、以下のような調査項目を想定し、tags.jsonに追加する。
調査項目 | 内容 |
---|---|
名称 | 名称を短文で記入 |
種別 | 種別(像、記念樹、記念碑、その他)を選択し、記入 |
解説 | 有、無を選択し、記入 |
設置年 | 日付を選択 |
写真 | 写真のパスを記載 |
備考 | その他必要な情報を記載する。 |
},//examplesの}の次に,を付けて以下を記載する
{
"sectionname": "モニュメント調査フォーム",
"sectiondescription": "モニュメント調査フォームです。",
"forms": [
{
"formname": "名称",
"formitems": [
{
"key": "title",
"value": "",
"islabel":"true",
"type": "string",
"mandatory": "yes"
}
]
},{
"formname": "種別",
"formitems": [
{
"key": "a single choice combo",
"values": {
"items": [
{"item": ""},
{"item": "像"},
{"item": "記念樹"},
{"item": "記念碑"},
{"item": "その他"}
]
},
"value": "",
"type": "stringcombo",
"mandatory": "yes"
}
]
},{
"formname": "解説の有無",
"formitems": [
{
"key": "a single choice combo",
"values": {
"items": [
{"item": ""},
{"item": "有"},
{"item": "無"}
]
},
"value": "",
"type": "stringcombo",
"mandatory": "yes"
}
]
},{
"formname": "設置年",
"formitems": [
{
"key": "a date",
"value": "",
"type": "date"
}
]
},{
"formname": "写真",
"formitems": [
{
"key": "a picture archive",
"value": "",
"type": "pictures"
}
]
},{
"formname": "備考",
"formitems": [
{
"key": "some text",
"value": "",
"type": "string"
}
]
}
]
}
] //JSONの閉じタグとして]を記載する
上記のように記載することで、下の左図のようにリストが追加される。
GPSをキャッチできる環境で、上の右図のGPSログを開始するボタンをクリックすると、調査経路の記録ができる。
データの書き出し
ノートとして作成した情報は、エクスポート>KMZ
から、調査記録がまとめられたKMZファイルを出力できる。GPSのログデータは、エクスポート>GPX
を選択する。
取得データの表示
Google Earthに読み込む
出力したKMZファイルを開き、Google Earthで表示する。Google Earthがインストールされた環境で、KMZファイルをダブルクリックし、実行する。または、Google Earthにドラッグ&ドロップする。
GPX
GPSのデータは、GPXファイルとして出力される。出力したデータを、QGISへドラッグ&ドロップするとラインデータとして表示することができる(Multi line stringsを選択する)。GPSの詳しい解説は、GPSログの活用を参照する。
QGISで表示する
KMZは、拡張子を.zipに変更して、.zipを解凍する。そうするとkmlと撮影した写真が表示できる。KMLファイルをQGISへドラッグ&ドロップし、データを表示できる。ただし、属性情報は、一つのフィールド内に連続して記録されるため、分析等で使えるように加工する必要がある。
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