空間データの統合・修正

 本教材は、「空間データの統合・修正」の実習用教材です。GISで用いられるラスタデータ(以下、ラスタという)とベクトルデータ(以下、ベクタという)の統合、修正、変換などデータの編集手法について解説しています。ソフトウェアは、無償で利用できるQGISを用いています。

 課題形式で使用する場合は、本教材を一読した後、課題ページへお進みください。GIS初学者は、本教材を進める前にGISの基本概念の教材を確認しておいてください。本教材を使用する際は、利用規約をご確認いただき、これらの条件に同意された場合にのみご利用下さい。

実習用データ

実習をはじめる前に、fujiをダウンロードしてください。

スライド教材

本教材は、スライド_空間データの統合・修正としても、ご利用いただけます。


ラスタのモザイクとクリップ

 以下では、ラスタデータ(ここでは、DEMを使用)の結合と任意範囲での切り抜きの解説を行っています。DEMは、Digital Elevation Modelの略であり、各セルごとに標高値を保持しているデータです。以下に従って、ダウンロードしたデータ(fuji)から任意の地域のデータを結合し、切り出して下さい。

ラスタを読み込むボタンをクリックして、fujiのラスタを全て読み込む。 ラスタ

ラスタのモザイク

読み込んだ複数の.tifファイルは、ラスタ>その他>結合を選択し、以下の手順で一つにまとめる。通常、データが無い値は、0や-9999などを必要に応じて指定する(今回はデフォルトで実行)。 モザイク

  1. 入力ファイルを選択する。
  2. 出力先とファイル入力する。
  3. OKをクリックする。

以下のように、ラスタが結合できる。 モザイク

ラスタの座標変換

ラスタの座標変換は、ラスタ>プロジェクション>ワープ(再投影)から実行する。ここでは、以下の手順で実行する地理座標系から、平面直角座標系に変換する。 座標変換

  1. 入力レイヤとして、結合したラスタを選択する。
  2. 変換元の座標系をEPSG:6668とする。
  3. 変換先の座標系をEPSG:6676とする。
  4. リサンプリングをバイリニアとする。
  5. Nodata値を0とする。
  6. 出力先とファイル名を指定する。
  7. 実行をクリックする。

ラスタのクリップ

ラスタ>抽出>範囲によるラスタクリップをクリックし、分析に必要な範囲のデータを抽出する。以下からは、結合、再投影したラスタ以外のレイヤを削除しておくと良い。 クリップ

  1. 再投影したラスタを入力レイヤに指定する。
  2. キャンパス上で領域を指定するをクリックし、地図をドラッグして範囲を指定する。
  3. 出力先とファイル名を指定する。
  4. 実行をクリックする。

以下のように、ラスタがクリップできる。 クリップ

ラスタの配色(値の分類)

以下では、抽出したデータの配色について解説する。DEMは、ラスタのセルごとに標高値を保持しているため、標高値による色分けができる。色分けは、以下の手順で実行する。 配色

  1. クリップしたラスタのプロパティ > シンボル体系から、レンダリングタイプを単バンド疑似カラーにする。
  2. 最小を0、最大を4000とする。
  3. モードを等分位とし、クラスを9とする。
  4. 各値ラベルをクリックし、表示値を書き換える。
  5. OKをクリックする。

以下のように、標高値ごとに色わけができる。 標高値

以下のように、値の追加や編集によって、応用的に色分けすることも可能である(以下では、2500m以下を青色として表現した)。 標高値

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等高線の抽出

 作成したラスタデータは、各セルごとに標高値を保持している。そのため、セルの値を補間、等高線を作成することができる。以下では、等高線の作成は、ラスタ>抽出>等高線をクリックを選択し、以下の手順で実行する。 等高線の抽出

  1. 入力ファイルを選択する。
  2. 等高線の間隔を入力(今回は、200mとする)する。
  3. 出力先とファイルを入力する(ESRI Shapefileで保存する)。
  4. 実行をクリックする。

以下のように、200mの等高線が出力される。属性テーブルに、標高値が作成されていることも確認しておくと良い。 等高線の抽出

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ラスタをベクターに変換する

 GISでは、処理の内容やデータの表現のため、ラスタデータやベクタデータを使い分けて使用します。以下では、ラスターデータをベクタデータ(ポリゴン)に変換する手法について解説しています。

ラスタをベクターに変換するため、ラスタ>変換>ポリゴン化(ラスタのベクタ化)をクリックし、以下の操作を行う。 ラスタをベクタへ

  1. 入力ファイルを選択する。
  2. 作成するフィールドの名前を指定する。
  3. 出力先とファイルを入力する。
  4. 実行をクリックする。

以下のように、ラスタがベクタに変換されるので、DNフィールドの値で色分けする。 ラスタをベクタへ

ポリゴンから特定の値(例:2500m以上の地域)を表示する

作成したポリゴンから、特定の値の地域の抽出しデータを表示する場合は、以下のように行う。レイヤの上で右クリックし、プロパティ>シンボロジーをクリックする。 ラスタをベクタへ 「段階に分けられた」を選択し、カラムに「DN」値を指定する。 分類数を1にし、「分類」をクリックする。値をクリックし2500-最大値を入力し、OKをクリックする。

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新規ベクターレイヤの追加

 GISでは、データを自作をすることができます。以下では、新規にベクトルデータを作成する手法について解説しています。以下をはじめる前に、富士山登山同図(fuji_trails.tif)をQGISで読み込んで下さい。背景図が読み込みが完了したら、レイヤ>レイヤの作成>新規シェープファイルレイヤを選択し、以下の手順でレイヤの作成を行う。 テーブルを編集

  1. 保存先とファイル名を指定する。
  2. 作成したいレイヤのタイプを選択する。
  3. 座標系(今回は、EPSG:6676とする)を設定する。
  4. 新規ポイントに追加したい属性を新フィールドから設定する。
    • 「名称」はカラム名、「タイプ」はデータ型にあわせる、「幅」と「精度」は入力するデータによる。
    • 「タイプ」・・・値が整数ならInteger、小数を含むならReal、テキストならStringとなる。
    • 「幅」>桁数、「精度」>表示する小数の位
  5. OKをクリックする。

※新規ベクターレイヤ追加では、ポイント、ライン、ポリゴンを同時に作成することができない。各レイヤを作成する場合ごとに、新規レイヤ作成が必要となる。

ポイントデータの作成と保存

以下では、富士山の登山道図をトレースして、山小屋のポイントを作成する。追加するポイントのIDと名前は表を参照する。 レイヤを選択し、編集モード切替をクリックする。 ポイントデータの作成と保存

ポイント地物を追加するをクリックし、山小屋1の位置をクリックし、idと名前を入力する。この作業をid 12まで行う。 ポイントデータの作成と保存

ポイントが追加できたら、レイヤ編集内容を保存(青枠)編集モード切替(赤枠)の順でクリックしてデータを保存する。 ポイントデータの作成と保存

ポイントの削除

以下では、ポイントデータを編集する手法について解説しています。ポイントの削除は、編集モードの状態で、選択ツールを用いて、削除したいレイヤを選択し、選択物を削除をクリックする。 ポイントの削除

ポイントの移動

ポイントの移動は、頂点ツールをクリックして、移動したいレイヤの頂点をクリックし、任意の場所に移動する。 ポイントの移動

属性情報の編集

QGISでは、以下のように属性テーブルを開き、属性情報をクリックし、編集したい情報を入力することができる。 テーブルを編集

ラインデータの作成

レイヤ>レイヤの作成>新規シェープファイルレイヤから、ポイントレイヤと同様の手法でラインデータを作成します。 ラインデータの作成

以下では、頂点を連結させるため、設定>オプション>デジタイズから、デフォルトでスナップオプションを有効にするにチェックをつける。 ラインデータの作成

ポイントデータを作成する要領で、登山道を何度もクリックしてなぞるようにラインデータを作成する。作成した線の最後の点で右クリックをするとダイアログが表示されるため、属性情報を入力する(以下では、1.富士宮口の登山道と2.お鉢巡りの道の順で作成します)。 ラインデータの作成

お鉢巡りを作成する際に、富士宮口登山道の終点に点が重なるように作成する。最終点の周辺にカーソルを重ねるとピンク色になるので、その場所にお鉢巡りの始点と終点を重ねるように作成する。 ラインデータの作成

ポリゴンデータの作成

以下では、ポリゴンデータの作成を解説するため、火口のポリゴンを新規に作成する。QGISビギナーズマニュアルに従って、ブラウザパネルを表示し、地理院タイル(簡易空中写真)をよみこむ ポリゴンデータの作成

レイヤ>レイヤの作成>新規シェープファイルレイヤから、ポイントレイヤと同様の手法でポリゴンデータを作成する。 ポリゴンデータの作成

ラインデータを作成する要領で、火口のふちを何度もクリックしてなぞるようにポリゴンデータを作成する。作成した線の最後の点で右クリックをするとダイアログが表示されるため、属性情報を入力する。 ポリゴンデータの作成

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ベクタをラスタへ変換する

 GISでは、処理の内容やデータの表現のため、ラスタやベクタを使い分けて使用します。以下では、land_condition.shpを利用したベクタのラスタ変換を解説するため、実習用データからQGISに読み込んでください。

ラスタ>変換>ラスタ化(ベクタのラスタ化)を選択し、以下の手順で処理を実行する。 ベクタをラスタへ

  1. land_conditionを選択する。
  2. バーンイン値に使用するフィールドをIDとする。
  3. 出力ラスターサイズの単位を地理参照された単位とする。
  4. 解像度を幅、高さそれぞれ30mとする。
  5. 出力領域をレイヤの領域に従うとし、land_conditionを選択する。
  6. 出力先とファイル名を指定する。
  7. 実行をクリックする。

左図のように出力されるので、右図のように属性にあわせて色付けを行う。以下では、等分位を4とし、1を黄緑、2を茶、3を赤、4を青とした。 ベクタをラスタへ

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ライセンスに関する注意事項

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教材の利用に関するアンケート

 本プロジェクトでは、教材の改良を目的とした任意アンケートを実施しています。ご協力いただける方は、アンケートにお進みください。ご協力のほどよろしくお願いいたします。

※ 本アンケートの成果は、教材の改良のほか、学会での発表等の研究目的でも利用します。また、本アンケートでは、個人が特定できるような質問は設けておりません。

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